コメカブログ

コメカ(TVOD/早春書店)のブログ。サブカルチャーや社会のことについて書いています。

2020年の「青春」

2020年が終わってしまう。とにもかくにもコロナ禍に振り回され続けた一年で、小さな古本屋を営むぼくにとってもこの状況はとにかくキツかった。というか今でもキツい。周りを見渡しても苦しい状況にある人ばかりで、たまに会話する機会があっても「この先一体どうなってしまうんでしょうね…」と、お互いなんとなくしょんぼりとした雰囲気になってしまう。

 

コロナ禍による失業者の数は七万人を超え、12/17付で東京都の医療警戒態勢レベルは最も高い警戒度「体制がひっ迫していると思われる」に引き上げられた。この状況下で小池都政はマヌケな「ウィズコロナ東京かるた」を作成し、菅政権はいぎたなく「GO TO トラベル」に固執する。都や国にこんなバカげた対応をされ続け、市民の側がそれに対して怒ることすらできないなら、それはもう実質的に奴隷状態にあると言うしかないと思う。

 

ただ、みんな疲れてると思うんだよね。例えば安倍政権時の安保法制反対デモのような、身体的に自分を解放するプロセスが閉ざされていることはやっぱり大きい。そして人為的ではないもの=ウイルスが原因となった困難に見舞われた社会は、読み解くことが難しい。難しいからこそ、そこに単純な「物語」を見出そうとして、陰謀論にハマってしまう人も多い。だが残念ながら、現実は単純な「物語」で説明できるほどシンプルなものではない。

 

身体を解放させることもできず、複雑な現実を解読する努力を続けることしかできず、疲れは蓄積されていく。

 

話はまったく変わるが、『この恋あたためますか』というテレビドラマを面白く観ている。劇中ではコロナ禍は描写されず、登場人物たちがそれこそ「濃厚接触」しながら、のびのびと恋愛や仕事に必死になる姿が描かれる。現実社会の時代性を反映した要素は薄く、主要キャラクターたちの人間的な成長プロセスをオーソドックスな手法で描いた物語なのだが、脚本・演出共に良い意味でエゴを感じさせない手堅い作りで、観ていてその手際の良さに感嘆させられる。「制作1人・脚本家2人」というチーム編成で脚本作成を行っているらしく、そうしたことが先述したようなエゴの無さに繋がっているのかもしれない。

 

しかしドラマを観ていて頭をよぎるのは、いま現在恋愛や仕事・学問に打ち込む盛りの年代にある人々は、果たしてどんな想いでこの日々を過ごしているのか、ということだ。「濃厚接触」が禁じられた世界のなかで、常に頭のどこかに不安を感じながら過ごす「青春」。優れたテレビドラマのような物語作品はそうした人々をも励まし得ると思うが、だがやはり現実社会こそが若者たちの希望を削がないように努力するべきである。もちろんあらゆる人が救われるべきであるということ(「青春」を過ごしている人も、そうでない人も)を前提にした上で、ただ一応、2020年の「青春」をも社会が支えるために自分にも何かできることはないだろうかと、いくらか老けてきた自分の身体を引きずりながら日々考えていたりする。